新規顧客を増やしたいのに、結局いつもの仕事が忙しくなるあるある

新規顧客を増やしたいのに、結局いつもの仕事が忙しくなるあるある
既存顧客対応に追われ、新規開拓が後回しになる企業の共通点
「新規顧客を増やしていかなければならないことはわかっている。しかし、気がつくと毎日、既存顧客の対応だけで一日が終わっている。」
これは、多くの中小企業や製造業の経営者、営業責任者から聞く悩みの一つです。経営会議では「新規開拓を強化しよう」と決め、営業担当者にも新規顧客へのアプローチを指示する。
それにもかかわらず、数か月後に営業活動を振り返ると、新規開拓はほとんど進んでいない。既存顧客からの見積依頼、問い合わせ、クレーム対応、納期調整などに追われ、結局いつもの仕事をこなすだけで終わってしまうのです。
営業担当者が新規開拓を怠けているわけではありません。むしろ、多くの場合、目の前のお客様に真面目に対応しようとしているからこそ、新規開拓に時間を使えなくなっています。
しかし、この状態を放置すると、企業の営業活動は徐々に大きなリスクを抱えることになります。既存顧客への依存度が高まり、一社の取引量が減っただけで売上が大きく影響を受ける。将来の売上をつくる新規顧客が育っていないため、既存顧客の売上減少を補うことができない。
新規開拓が重要だと理解しているだけでは、営業活動は変わりません。
今回は、「新規顧客を増やしたいのに、結局いつもの仕事が忙しくなる」という営業あるあるをテーマに、新規開拓が後回しになってしまう企業の共通点と、継続的に新規顧客を獲得するために必要な考え方について解説します。
なぜ新規開拓は、いつも後回しになってしまうのか
既存顧客からの仕事と新規開拓を比べたとき、営業担当者にとって優先順位が高くなるのは、当然ながら既存顧客の対応です。
すでに取引があるお客様から電話があれば、すぐに対応する必要があります。見積依頼が来れば納期までに提出しなければなりません。トラブルやクレームが発生すれば、さらに優先度は高くなります。
一方、新規開拓は「今日やらなければ明日困る」という仕事ではありません。新規顧客へのアプローチを一日延期しても、すぐに売上が下がるわけではないため、どうしても緊急性の高い既存業務に押し出されてしまいます。
しかし、新規開拓を先送りにした影響は、数か月後、あるいは一年後に現れます。
新規顧客との接点が増えていない。商談の種がない。将来の売上につながる案件が育っていない。その状態になってから慌てて新規開拓を始めても、すぐに売上をつくることはできません。
つまり、新規開拓は「緊急ではないが、非常に重要な仕事」です。
この仕事を個人の空いた時間に任せている企業では、ほぼ確実に新規開拓が後回しになります。だからこそ、「時間ができたら新規開拓をする」という考え方から脱却する必要があります。
共通点① 新規開拓が「通常業務のついで」になっている
新規開拓が進まない企業の大きな共通点は、新規営業が通常業務の中に組み込まれていないことです。
「既存顧客の仕事が落ち着いたら、新規開拓をする」「時間に余裕があるときにリストへ電話する」「今月は少し頑張って訪問してみよう」といった運用では、継続的な営業活動にはなりません。
営業担当者にとって、新規開拓は本来の業務とは別の「追加業務」になってしまいます。
これでは、忙しくなれば真っ先に削られる仕事になるのも当然です。
新規開拓を継続する企業は、新規営業を特別な取り組みとして扱っていません。営業活動の一部として、あらかじめスケジュールや業務の中に組み込んでいます。
例えば、毎週決まった曜日の午前中は新規顧客へのアプローチを行う、毎月一定数の新規企業と接点をつくる、営業会議で既存案件と同じように新規開拓案件の進捗を確認するといった仕組みです。
重要なのは、「やろうと思ったときにやる」のではなく、やらなければならない状態を営業活動の中につくることです。
共通点② 既存顧客対応が営業担当者に集中している
既存顧客対応に追われて新規開拓ができない企業では、営業担当者が抱える業務範囲が広すぎるケースも多くあります。
営業担当者が顧客訪問だけでなく、見積書の作成、受発注対応、納期確認、社内調整、問い合わせ対応、トラブル対応まで幅広く担当している場合、新規営業に使える時間は当然少なくなります。
特に製造業では、「営業がお客様との窓口だから」という理由で、あらゆる仕事が営業担当者に集まってしまうことがあります。
しかし、本当に営業担当者でなければできない仕事は何でしょうか。
お客様との関係を深めること。新しいニーズを発掘すること。新規顧客との接点をつくること。市場の情報を集め、次の売上につながる機会を見つけること。これらは、企業の成長に直結する営業担当者の重要な役割です。
一方で、定型的な事務作業や社内で分担できる業務まで営業担当者が抱え続ける必要があるのかは、改めて検討する必要があります。
新規開拓を強化したいのであれば、「営業担当者にもっと頑張ってもらう」だけでは解決しません。
営業担当者が、本当に営業活動に集中できる環境をつくれているかを見直すことが必要です。
共通点③ 新規開拓の目標が曖昧になっている
「新規顧客を増やそう」という方針だけでは、営業担当者は具体的に何をすればよいのかわかりません。
月に何社へアプローチするのか。どのような業界をターゲットにするのか。アポイントを何件獲得するのか。商談後はどのようにフォローするのか。
こうした具体的な行動が決まっていなければ、新規開拓は「時間があればやる仕事」のままになります。
また、新規顧客の売上だけを目標にしている企業も注意が必要です。
新規開拓は、アプローチを始めてすぐに受注につながるとは限りません。特に法人営業や製造業では、商談から受注までに長い時間がかかることもあります。
そのため、「今月の新規売上」だけを目標にすると、すぐに成果が出ない新規開拓への意欲が下がってしまいます。新規営業では、売上だけでなく、その前段階となる活動も管理する必要があります。
新規企業へのアプローチ数、アポイント数、初回商談数、継続商談数、提案件数など、自社の営業プロセスに合わせて目標を設定することで、新規開拓の進捗を可視化できます。
成果が出る企業ほど、「新規開拓を頑張ろう」ではなく、「今月は誰が、どのターゲットに、どのような活動をするのか」が明確になっています。
共通点④ 新規開拓の優先順位を経営者自身が守れていない
新規開拓が進まない原因は、営業担当者だけにあるとは限りません。
経営者や営業責任者が「新規開拓が重要だ」と言いながら、営業担当者に既存顧客の対応を次々と依頼しているケースもあります。
「このお客様から急ぎの依頼が来たから対応してほしい」「このトラブルを優先してほしい」「展示会の後処理をしてほしい」と、日々新しい仕事が入ってくれば、あらかじめ予定していた新規開拓の時間は簡単になくなります。
もちろん、経営上、優先すべき緊急案件もあります。しかし、毎回同じように新規開拓の時間を削っていれば、組織に「新規開拓は、忙しくなったらやらなくてもいい仕事」というメッセージが伝わってしまいます。
経営者が本当に新規顧客を増やしたいのであれば、新規開拓の活動時間や目標を設定するだけでなく、それを継続できる環境を守ることも必要です。
新規開拓は、営業担当者だけの仕事ではありません。
会社として将来の売上をつくるための経営活動です。
既存顧客を大切にすることと、新規開拓をすることは両立できる
「新規開拓に力を入れると、既存顧客への対応がおろそかになるのではないか」と心配する企業もあります。
もちろん、既存顧客を大切にすることは非常に重要です。現在の売上を支えているお客様との関係を維持し、取引を深めていくことは、営業活動の基本です。
しかし、既存顧客対応と新規開拓を「どちらか一方を選ぶもの」と考える必要はありません。
重要なのは、それぞれの目的と役割を明確にし、営業活動全体の中でバランスを取ることです。
既存顧客は、現在の売上を守り、さらに取引を広げるために重要です。一方、新規開拓は、将来の売上をつくり、顧客構成のリスクを分散するために必要です。
どちらかだけでは、安定した事業成長は難しくなります。
「既存顧客の仕事がなくなったら新規開拓をする」のではなく、既存顧客を守りながら、新しい売上の柱を育てていく。この考え方が、継続的に成長する営業組織には必要です。
新規開拓を継続するためには「仕組み」にすることが重要
新規開拓を営業担当者の意欲や根性に頼ると、忙しい時期には必ず止まります。
そのため、新規営業を継続するためには、個人の努力ではなく仕組みをつくる必要があります。
例えば、営業会議で毎回、新規開拓の進捗を確認する。ターゲットリストを明確にし、誰がどの企業にアプローチするのかを決める。既存案件と同じように、新規案件についても次回アクションを設定する。活動結果を共有し、成果が出た営業方法を組織で横展開する。
こうした仕組みをつくることで、新規開拓が「個人が頑張る活動」から「会社として継続する営業活動」へ変わっていきます。
また、営業担当者全員が同じように新規開拓を担う必要があるとは限りません。既存顧客対応が得意な人、新規開拓が得意な人、商談や提案が得意な人など、それぞれの強みを活かして役割を分担することも有効です。
重要なのは、「新規開拓を誰かがやるだろう」という状態をなくすことです。
誰が責任を持ち、どのようなプロセスで新規顧客を増やしていくのかを明確にすることで、営業活動は安定していきます。
新規開拓の時間を「空いた時間」ではなく「投資時間」と考える
新規開拓が後回しになる企業では、新規営業の時間を「余裕があれば使う時間」と考えていることがあります。しかし、新規開拓は将来の売上をつくるための投資です。
今日アプローチした企業が、明日すぐにお客様になるとは限りません。しかし、今日接点をつくらなければ、半年後や一年後に新しい売上につながる可能性も生まれません。
既存顧客への対応は、現在の売上を守るための仕事です。
新規開拓は、未来の売上をつくるための仕事です。
どちらも企業にとって必要な仕事だからこそ、目の前の忙しさだけで判断せず、意識的に新規開拓の時間を確保する必要があります。
営業担当者のスケジュールをすべて既存顧客の対応で埋めてしまえば、新規顧客は自然には増えません。「売上が足りなくなったら新規開拓を強化しよう」と考えてからでは、遅い場合もあります。
余裕があるときから、将来のために種をまいておくことが、新規開拓では何よりも重要です。
まとめ|新規開拓は「忙しくなくなったらやる仕事」ではない
「新規顧客を増やしたいのに、結局いつもの仕事が忙しくなる」という状況は、多くの企業で起こっています。その原因は、営業担当者のやる気や能力だけではありません。
新規開拓が通常業務のついでになっていること、営業担当者に既存業務が集中していること、具体的な目標や活動計画がないこと、そして会社全体として新規開拓の優先順位を守る仕組みがないことが大きな原因です。
新規顧客を継続的に増やすためには、「もっと新規開拓を頑張ろう」と言うだけでは不十分です。
誰が、どのようなターゲットに、どのくらいの頻度でアプローチするのか。新規開拓の時間をどのように確保するのか。活動状況を誰が確認し、改善していくのか。こうした仕組みをつくることが必要です。
新規開拓は、仕事が落ち着いてから始めるものではありません。仕事が忙しい中でも継続できる仕組みをつくってこそ、将来の売上につながります。
既存顧客を大切にしながら、新しい顧客との接点をつくり続ける。その積み重ねが、一社への依存を減らし、売上の変動リスクを抑え、企業の成長を支える営業基盤になります。
「新規顧客を増やしたい」と考えているのであれば、まずは営業担当者に新しい仕事を増やす前に、現在の営業活動を見直してみてください。
新規開拓ができない理由は、「時間がないこと」そのものではないかもしれません。
新規開拓を継続するための時間と仕組みを、会社としてつくれているかどうか。
そこに、これからの営業組織を変えるための重要なヒントがあります。





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