自社の商品説明ばかりになり、相手に刺さる提案ができない理由

自社の商品説明ばかりになり、相手に刺さる提案ができない理由
新規のお客様に何を提案すればいいかわからない営業あるある
新規のお客様との商談で、「何を提案すればいいのかわからない」と悩んだ経験のある営業担当者は少なくありません。
せっかくアポイントをいただき、時間をかけて訪問したにもかかわらず、会社案内や商品カタログを説明して終わってしまう。「弊社ではこのような商品を扱っています」「この技術にはこのような強みがあります」と一生懸命に説明したものの、お客様の反応はいまひとつ。そのまま「何かありましたらお願いします」という言葉で商談を終えることになってしまう。
これは営業活動でよくある光景です。しかし、その原因は営業担当者の商品知識が足りないからでも、話す力が不足しているからでもありません。
多くの場合、問題はもっと手前にあります。
それは、「自社が売りたいもの」から商談を考えてしまい、「お客様が今、何に困っているのか」から提案を考えられていないことです。
なぜ新規のお客様への提案は難しいのか
既存のお客様であれば、これまでの取引実績や担当者との関係性があります。「最近、この商品の需要が増えている」「前回、このような課題を抱えていた」といった情報があるため、次に何を提案すればよいかを考えやすくなります。
一方、新規のお客様の場合は、相手のことがほとんどわかりません。どのような製品を扱っているのか、どのような顧客を持っているのか、現在どのような課題を抱えているのか。情報が少ない状態で訪問するため、営業担当者は「まずは自社のことを知ってもらわなければ」と考えがちです。
その結果、商談の中心が会社説明や商品説明になります。
もちろん、新規のお客様に自社を知っていただくことは必要です。しかし、お客様が本当に知りたいのは、営業担当者の会社がどれだけ素晴らしいかだけではありません。
「この会社と話すことで、自分たちにどのようなメリットがあるのか」「今抱えている問題を解決できる可能性があるのか」を知りたいのです。
ここに、新規開拓営業の難しさと、成果が出る営業との大きな違いがあります。
商品説明をしているのに、お客様に刺さらない理由
営業担当者が商品説明ばかりになってしまうのは、決して悪気があるわけではありません。むしろ、自社の商品を理解し、その魅力をしっかり伝えようとしている真面目な営業担当者ほど、この傾向が強いことがあります。
しかし、商品そのものの特徴と、お客様が感じる価値は同じではありません。
例えば、「短納期対応が可能です」と説明しても、お客様が納期に困っていなければ、それは魅力的な提案にはなりません。「高品質です」「カスタマイズできます」「豊富な実績があります」と伝えても、それが今のお客様の課題と結びついていなければ、単なる情報として流れてしまいます。
営業で重要なのは、商品の特徴を一方的に伝えることではなく、その特徴がお客様のどのような課題を解決できるのかを結びつけることです。
つまり、「何を売るか」を考える前に、「誰の、どのような課題に役立てるのか」を考える必要があります。
商品説明が悪いのではありません。商品説明から商談を始めてしまうことが問題なのです。
「提案するものがない」と感じる営業ほど、質問が足りていない
新規営業で「提案できることがない」と感じたとき、多くの営業担当者は自社の商品ラインナップを見直します。「もっと提案できる商品を増やさなければ」「別の商品を紹介したほうがいいのではないか」と考えることもあるでしょう。
しかし、実際には提案の選択肢が少ないのではなく、お客様の情報が足りていないため、何を提案すればよいのかわからないケースがほとんどです。
提案とは、最初から用意された答えを見せることではありません。お客様との会話の中から課題や可能性を見つけ、その課題に対して自社が提供できる価値を整理することです。
そのため、新規商談では「何を話すか」よりも「何を聞くか」が重要になります。
現在どのような製品やサービスに力を入れているのか。どのような顧客からの相談が増えているのか。
今後伸ばしていきたい事業は何か。調達や生産、品質、納期、コストなどで困っていることはないか。
こうした情報を聞かずに提案だけをしようとすれば、営業はどうしても自社の商品説明に頼るしかありません。
良い提案は、良いヒアリングからしか生まれません。
新規営業では、最初から完璧な提案を持っていく必要はありません。むしろ初回商談の目的は、「提案するために必要な情報を集めること」と考えたほうが、商談はうまく進みます。
「売り込み」ではなく「一緒に可能性を考える」営業へ
新規のお客様は、初めて会った営業担当者にすぐ仕事を任せるわけではありません。まずは、「この人は自社のことを理解しようとしてくれているか」「話していて新しい気づきがあるか」「何かあったときに相談できそうか」を見ています。
だからこそ、新規商談では無理に商品を売り込む必要はありません。
例えば、お客様が「今後、新しい市場を開拓していきたい」と話したとき、自社の商品をすぐに紹介するのではなく、「その市場では、現在どのような引き合いがありますか」「既存のお客様から関連する相談はありませんか」と掘り下げていくことができます。
その会話の中で、「その課題であれば、弊社のこの技術が活かせるかもしれません」「一度、具体的な条件を整理してみませんか」と、自然に提案へつなげることができます。
営業担当者が一方的に答えを出すのではなく、お客様と一緒に課題や可能性を整理する。この姿勢が、新規のお客様との信頼関係をつくる第一歩になります。
提案力を高めるために必要なのは「商品知識」だけではない
営業担当者の教育では、商品知識や技術知識に力を入れている企業が多くあります。もちろん、それらは営業活動の基礎として欠かせません。
しかし、商品を知っていることと、提案できることは別です。
提案力を高めるためには、自社の商品だけでなく、お客様の業界や事業、顧客、競合、市場環境を理解する必要があります。特にBtoB営業や製造業の営業では、自社が直接販売している商品だけを見るのではなく、その商品がお客様の事業の中でどのように使われ、最終的にどの市場につながっているのかまで視野を広げることが重要です。
お客様の事業を理解することで、「この会社には、この商品を売ろう」という発想から、「この会社の事業が成長するために、自社はどの部分で貢献できるだろう」という発想へ変わります。
この視点を持つ営業担当者は、単なる商品紹介ではなく、相手に合わせた提案ができるようになります。
初回商談で無理に提案を完成させなくてもいい
新規営業で成果を急ぐあまり、初回商談から何かを提案しなければならないと考えてしまう営業担当者もいます。しかし、十分な情報がない状態で無理に提案をすると、的外れな提案になる可能性があります。
初回商談では、まずお客様を理解する。次回までに情報を整理し、「先日お伺いした内容から、このような可能性があると考えました」と改めて提案する。
このほうが、お客様にとっても「自社の話をきちんと聞いたうえで考えてくれた」という印象につながります。
営業は、訪問したその場で商品を売ることだけが仕事ではありません。商談を次のステップへ進め、より具体的な課題やニーズを明確にし、受注につながる関係をつくっていくことも重要な営業活動です。
「今回は提案できなかった」ではなく、「次回、より良い提案をするための情報を得られた」と考えることで、新規営業への向き合い方も変わってきます。
まとめ|「何を提案するか」ではなく「何を知るべきか」から始めよう
「新規のお客様に何を提案すればいいかわからない」という悩みは、多くの営業担当者が抱える営業あるあるです。
しかし、その答えを自社の商品カタログの中だけで探していても、なかなか見つかりません。
大切なのは、まずお客様を知ることです。どのような事業をしているのか、何に力を入れているのか、どのような課題や目標があるのか。その情報を理解したうえで、自社の商品やサービスを「お客様にとっての価値」に変換することが、提案営業の基本です。
営業は、自社の商品を上手に説明する仕事ではありません。お客様の課題や目標を理解し、
自社ができることを通じて、その実現を支援する仕事です。
新規のお客様との商談で「何を提案しよう」と悩んだときこそ、少し視点を変えてみてください。
「今日は何を売るか」ではなく、「このお客様のことを何を知るべきか」。
その問いから始めることで、商品説明だけで終わっていた商談が、少しずつ相手に刺さる提案へと変わっていくはずです。新規開拓は、最初から正解を持って訪問する営業ではありません。お客様との対話の中から正解を一緒につくっていく営業なのです。





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