営業×マーケの分断はなぜ起きるのか?
- 3 時間前
- 読了時間: 5分

営業×マーケの分断はなぜ起きるのか?
― 成果につながる“連携モデル”の設計方法 ―
「マーケはリードを渡しているのに、営業が活かしていない」「営業は“質が低い”と言うが、そもそもフォローしていない」
この対立構造は、多くの企業で繰り返されています。しかも厄介なのは、どちらの言い分も“正しい側面がある”ことです。
結果として何が起きるか。責任の所在が曖昧になり、改善が進まず、機会損失だけが積み上がる。
ここで重要なのは、営業とマーケの問題を“人の問題”として扱わないことです。
本質は、構造の問題です。そして結論から言えば、分断は「プロセスが分かれていること」ではなく、「目的と定義が揃っていないこと」から生まれます。
1. なぜ営業とマーケは分断されるのか
まず、この問題の根本原因を整理します。
■ ① 「リード」の定義が曖昧
マーケティングはリードを創出し、営業に引き渡す。一見シンプルな流れですが、ここに大きなズレがあります。
マーケ側の認識:
資料請求や問い合わせがあればリード
興味関心がある状態
営業側の認識:
予算・権限・ニーズが明確
すぐに商談化できる状態
つまり、同じ「リード」という言葉でも、期待している状態が全く違うのです。
この時点で、ミスマッチは必然です。
■ ② 評価指標(KPI)の不一致
マーケは、
リード数
CPA
コンバージョン率
で評価されます。
一方、営業は、
商談数
受注率
売上
で評価される。
この構造では、マーケは“数を増やす”方向に動き、営業は“質を求める”方向に動きます。
結果として、同じ目標に向かっているはずなのに、行動が噛み合わないという状態になります。
■ ③ リードの“温度差”が共有されていない
リードには明確な段階があります。
情報収集段階
比較検討段階
意思決定段階
しかし多くの組織では、これが適切に共有されていません。
その結果、
営業が早すぎるタイミングでアプローチする
逆に、機会を逃す
といった問題が発生します。
これは単なる運用ミスではなく、プロセス設計の不備です。
2. リードの質・温度差問題の本質
ここで一度、「リードの質が低い」という言葉を分解します。
営業が言う“質が低い”とは、実際には以下のいずれかです。
まだ検討段階に入っていない
課題が明確になっていない
意思決定者に繋がっていない
つまり、“質が低い”のではなく、“タイミングが合っていない”だけです。
一方でマーケ側からすると、
適切に興味関心を持った層を集めている
数値的には成果が出ている
という認識になります。どちらも間違っていません。
問題は、そのリードを「どう育てて」「いつ営業に渡すか」という設計がないことです。
3. 成果につながる連携モデルの作り方
では、どうすれば営業とマーケを一体化できるのか。ポイントは、“分業”ではなく“連携設計”です。
■ ① リードのステージを共通言語化する
まず最優先でやるべきは、リードの状態を明確に定義することです。
例えば:
MQL(マーケが創出した見込み顧客)
SQL(営業が対応すべき見込み顧客)
商談化
受注
これらの定義を、営業とマーケで完全に一致させる。
重要なのは、
どの状態で営業に渡すのか
その時点で何が分かっているべきか
を具体的に決めることです。
■ ② “育成プロセス”を設計する
すべてのリードがすぐに商談化するわけではありません。むしろ大半は、時間をかけて育てる必要があります。
ここで必要なのが、
メールマーケティング
コンテンツ提供
セミナー・ウェビナー
などによる“ナーチャリング”です。
そして重要なのは、どのタイミングで営業に引き渡すかの基準を持つことです。
■ ③ インサイドセールスをハブにする
営業とマーケの間に、インサイドセールスを配置することで、連携は大きく改善します。
役割としては、
リードの初期対応
温度感の確認
商談化の判断
を担う。
これにより、
営業は確度の高い案件に集中できる
マーケはフィードバックを得られる
という好循環が生まれます。
■ ④ フィードバックループを構築する
連携モデルで最も重要なのは、情報の循環です。
営業が感じたリードの質
商談化しなかった理由
受注につながったパターン
これをマーケにフィードバックする。
そしてマーケは、それをもとに施策を改善する。
このループが回り始めると、リードの質は自然と向上していきます。
■ ⑤ 共通KPIを設定する
最後に、評価指標の統一です。
商談化率
受注率
顧客獲得単価
など、営業とマーケが共通で追う指標を設定する。
これにより、
マーケは“数だけ”を追わなくなる
営業も“質だけ”を求めなくなる
結果として、行動が一致します。
まとめ:分断は“設計不足”であり、解決可能な問題
営業とマーケの分断は、決して珍しい問題ではありません。しかし、それは“仕方ないもの”でもありません。
定義が揃っていない
プロセスが設計されていない
情報が共有されていない
これらを整えることで、連携は確実に改善します。
少し現実的な話をすると、営業とマーケが“仲良くなる”必要はありません。
重要なのは、“同じ構造の中で動いている状態”を作ることです。
この状態ができれば、組織は自然と機能し始めます。
そして何より、営業とマーケが一体化した組織は圧倒的に強い。
リードを生み、育て、確実に受注につなげる。この流れが途切れない組織こそが、安定して成果を出し続けます。分断は問題ではなく、改善の余地です。この視点を持てたとき、営業組織は一段上のステージに進みます。





コメント