新規開拓の目標はあるけれど、何をどこまでやれば達成できるかわからない営業あるある

新規開拓の目標はあるけれど、何をどこまでやれば達成できるかわからない営業あるある
売上目標を行動目標に落とし込み、営業活動を設計する重要性
「今年は新規顧客から〇〇万円の売上をつくる」「新規顧客を10社獲得する」。多くの企業では、新年度や期初にこのような新規開拓の目標を掲げます。
しかし、実際に営業活動を始めてみると、現場からこんな声が聞こえてくることがあります。
「目標はわかっているけれど、具体的に何をすれば達成できるのかわからない」「とりあえず新規訪問や電話をしているものの、このやり方で本当に目標に届くのか不安」「月末になってから数字が足りないことに気づき、慌てて営業活動を増やしている」。
これは、新規開拓において非常によくある課題です。
売上目標そのものは設定されているものの、その目標を達成するために必要な商談数や提案件数、アプローチ数まで具体的に設計されていないため、営業活動が担当者個人の感覚や努力に任されてしまいます。
その結果、営業担当者は「頑張っているのに成果が出ない」と感じ、経営者や営業責任者は「もっと新規開拓をしてほしい」と感じる。お互いに努力しているにもかかわらず、目標との距離を埋めることができない状況が生まれてしまいます。
新規開拓で継続的に成果を出すためには、売上目標を掲げるだけでは不十分です。目標達成までの道筋を数字で逆算し、営業担当者が「何を、いつまでに、どれくらい行えばよいのか」を明確にすることが必要です。
今回は、「新規開拓の目標はあるけれど、何をどこまでやれば達成できるかわからない」という営業あるあるをテーマに、売上目標を具体的な行動目標に落とし込み、営業活動を設計する重要性について解説します。
売上目標だけでは、営業担当者は動きにくい
例えば、経営者から営業部に「今年は新規顧客から3,000万円の売上をつくってほしい」と伝えたとします。
経営者にとっては明確な目標です。しかし、営業担当者の立場からすると、「では、明日から何をすればいいのか」がわからないことがあります。
3,000万円の売上をつくるために、何社の新規顧客が必要なのか。一社あたりの平均受注額はいくらなのか。何件の提案をすれば受注につながるのか。そもそも、その提案をするためには何件の商談が必要なのか。
これらが見えていなければ、営業活動は「とにかく頑張る」という精神論になってしまいます。
営業担当者が毎日忙しく動いていても、その活動量が目標達成に必要な水準に届いているのか判断できません。逆に、必要以上に多くの活動をして疲弊している可能性もあります。
売上目標は、最終的に目指すべき結果です。しかし、営業担当者が日々コントロールできるのは、売上そのものではなく、自分自身の営業活動です。
だからこそ、売上目標をそのまま現場に渡すのではなく、営業担当者が日々実行できる具体的な行動へ分解することが重要になります。
売上目標から逆算して営業活動を設計する
新規開拓の営業活動を設計するときには、売上目標から逆算して考えます。
例えば、年間の新規売上目標が3,000万円で、一社あたりの年間平均受注額が300万円だとします。
この場合、単純計算で年間10社の新規顧客が必要になります。
さらに、自社の過去の営業実績から、10件の提案に対して3件程度が受注につながるのであれば、10社を獲得するためには約33件の提案が必要になります。
そして、商談のうち半数程度が具体的な提案につながるのであれば、約66件の商談が必要になるかもしれません。さらに、アポイント獲得率が10%であれば、目標達成に必要なアプローチ数も見えてきます。
もちろん、すべての企業がこの通りに計算できるわけではありません。案件単価や受注までの期間、受注率は業種や企業によって大きく異なります。
しかし、大切なのは完璧な数字を最初から出すことではありません。自社の営業活動を数字で把握し、「売上をつくるためには、その前に何が必要なのか」を見える化することです。
この考え方があれば、「今月の売上が足りないから営業を頑張ろう」ではなく、「現在の商談数では、半年後の目標達成が難しいため、今月は新規アプローチを増やそう」と、先を見据えた営業活動ができるようになります。
「結果目標」と「行動目標」を分けて考える
営業目標を設定する際には、「結果目標」と「行動目標」を分けて考えることが重要です。
結果目標とは、売上や受注件数、新規顧客獲得数など、最終的に達成したい成果です。
一方、行動目標とは、新規アプローチ数、アポイント獲得数、商談数、提案件数、フォロー件数など、営業担当者が日々取り組む具体的な活動です。
営業活動では、結果だけを自分自身でコントロールすることはできません。
どれだけ良い提案をしても、お客様の予算やタイミングによって受注できないこともあります。
しかし、適切なターゲットにアプローチし、商談を行い、提案し、継続的にフォローすることは、営業担当者自身でコントロールできます。
そのため、営業活動を管理する際には、「今月いくら受注したか」という結果だけを見るのではなく、「目標達成に必要な営業活動ができているか」というプロセスも確認する必要があります。
特に新規開拓では、今日の行動が数か月後の売上になることもあります。
今月の売上が良くても、将来につながる商談がなければ、数か月後には案件がなくなる可能性があります。反対に、今月の売上がまだ少なくても、新しい商談や提案が積み上がっていれば、将来の売上につながる可能性があります。結果と行動の両方を見ることで、営業活動を短期的な数字だけで判断せず、継続的に改善できるようになります。
自社の「営業数字」を知ることから始める
売上目標を行動目標に落とし込むためには、自社の営業活動に関する数字を把握する必要があります。
例えば、過去一年間の営業活動を振り返り、新規顧客の平均受注単価、新規商談から提案につながる割合、提案から受注につながる割合、初回接点から受注までにかかる平均期間などを確認します。
これまで営業活動を数字で管理していなかった企業の場合、最初から正確なデータがそろっていないこともあります。その場合でも問題ありません。まずは現状を把握することから始め、営業活動を継続する中で数字を蓄積していけばよいのです。
重要なのは、一般的な営業の成功率をそのまま自社に当てはめることではありません。
同じ製造業でも、扱う商品や市場によって営業プロセスは大きく異なります。
高額な設備投資であれば受注までに時間がかかりますし、消耗品や定期的に発生する商材であれば比較的短い期間で取引につながることもあります。
だからこそ、自社の営業活動において、どのくらいの活動がどのくらいの成果につながっているのかを知ることが、営業設計の出発点になります。
目標は「年間」だけでなく、月・週単位まで落とし込む
年間の営業目標を設定していても、それを年末までそのまま放置していては意味がありません。
例えば、年間で12社の新規顧客を獲得するという目標があれば、単純に考えれば月平均1社という目安になります。
しかし、新規開拓は毎月同じように受注が発生するとは限りません。大型案件が特定の時期に集中することもありますし、業界によっては繁忙期や予算編成の時期があります。
そのため、年間目標をそのまま12で割るだけではなく、自社の営業サイクルやお客様の動きを考慮しながら、月単位、四半期単位の営業計画を立てることが重要です。
さらに、営業担当者の日々の行動につなげるためには、「今週はどの企業にアプローチするのか」「今月は何件の初回商談をつくるのか」「現在の案件を次のステップへ進めるために何をするのか」まで具体化する必要があります。
営業目標は、掲げるだけでは達成できません。年間目標を月間目標へ、月間目標を週間の行動へ落とし込むことで、初めて日々の営業活動と売上目標がつながります。
行動量だけを増やしても、成果が出るとは限らない
「目標を達成するためには、とにかく営業件数を増やそう」という考え方もあります。
もちろん、営業活動量は重要です。新規開拓では、何もしなければ新しい商談は生まれません。
しかし、行動量だけを増やしても、ターゲットが適切でなかったり、営業の進め方に課題があったりすれば、成果にはつながりません。
100社にアプローチしても、そもそも自社の商品を必要としない企業ばかりであれば、時間と労力を使うだけになってしまいます。
また、アポイントは取れているのに商談が次につながらないのであれば、必要なのはアプローチ数を増やすことではなく、初回商談の内容を見直すことかもしれません。
営業活動を設計する目的は、単純に営業担当者を忙しくすることではありません。
どの段階に課題があるのかを把握し、最も効果的な行動に時間を使うことです。
数字を見ることで、「もっと頑張る」という曖昧な改善ではなく、「今月はターゲットを見直す」「初回商談のヒアリングを改善する」「提案後のフォローを強化する」といった具体的な改善ができるようになります。
営業活動を「計画」と「実績」で定期的に見直す
どれだけ綿密に営業計画を立てても、計画通りに進むとは限りません。
想定より受注率が低いこともあります。新しい市場にアプローチしたものの、予想していたほどニーズがないこともあります。
反対に、思わぬ業界から問い合わせが増えることもあります。
だからこそ、営業計画は一度作って終わりではなく、定期的に実績を確認し、修正していくことが重要です。
例えば、毎月の営業会議で、売上だけではなく、新規アプローチ数、商談数、提案件数、受注件数などを確認します。
そして、「なぜ計画通りに進んでいないのか」「どの段階で数字が止まっているのか」「来月は何を変えるのか」を話し合います。
営業活動は、最初から正解の計画を作ることよりも、実行しながら精度を高めていくことが重要です。
計画と実績の差を確認し、改善を繰り返すことで、自社にとって成果の出る営業の仕組みが少しずつ見えてきます。
営業担当者に「目標を達成する道筋」を見せる
営業目標を数字で設計するもう一つの大きなメリットは、営業担当者自身が目標達成までの道筋を理解できることです。「今年は新規売上を増やしてください」と言われるだけでは、目標が大きすぎて何から始めればよいかわからないことがあります。
しかし、「この目標を達成するためには、今期中にこれだけの商談が必要で、そのために今月はこれだけの新規接点をつくる必要がある」と具体的に示されれば、日々の行動の意味を理解できます。
もちろん、営業担当者に過度なノルマを課すことが目的ではありません。
むしろ、営業担当者が「何をすれば目標に近づけるのか」を理解し、自分自身で営業活動を管理できる状態をつくることが重要です。
目標が遠すぎると、人は行動しにくくなります。しかし、「今週はここまでやればいい」と具体的になれば、行動に移しやすくなります。
営業責任者の役割は、結果だけを求めることではなく、営業担当者が成果を出すための道筋をつくることでもあります。
まとめ|売上目標を「現場が動ける計画」に変える
「新規開拓の目標はあるけれど、何をどこまでやれば達成できるかわからない」という状態では、営業活動が個人の感覚や経験に頼りやすくなります。
売上目標を掲げることは重要ですが、それだけでは現場は具体的に動けません。
年間の売上目標から必要な新規顧客数を考え、そのために必要な提案件数、商談数、アプローチ数へと逆算する。
そして、結果目標と行動目標を分け、日々の営業活動を計画的に進めていくことが必要です。
もちろん、営業活動は計算通りに進むものではありません。
だからこそ、計画を立て、実績を確認し、数字を見ながら改善を続けることが重要です。最初から完璧な営業計画をつくる必要はありません。実践を通じて自社の営業データを蓄積し、少しずつ精度を高めていけばよいのです。
営業目標とは、単なる「達成すべき数字」ではありません。その目標を実現するために、組織がどのように動くべきかを考えるための出発点です。
もし、新規開拓の目標だけが掲げられ、「結局、何をすればいいのかわからない」という状態になっているのであれば、まずは目標を具体的な営業プロセスに分解してみてください。
「売上を達成する」というゴールから、「今週、何をするのか」という行動までをつなげる。
その道筋が明確になることで、営業担当者は迷わず動けるようになり、営業責任者も適切なタイミングで支援や改善ができるようになります。
新規開拓を成功させるために必要なのは、気合いや根性だけではありません。目標から逆算し、成果につながる行動を設計し、実行と改善を繰り返すことです。
売上目標を「数字だけの目標」で終わらせず、「現場が実行できる具体的な営業計画」に変えること。それこそが、偶然ではなく、継続的に新規顧客を獲得していく営業組織への第一歩になるのです。





コメント