中小企業のための海外展開売るだけじゃない、残すためのグローバル戦略予算計画と資金調達〜補助金・助成金の活用術
- rmatsumoto9214
- 6月27日
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中小企業のための海外展開売るだけじゃない、残すためのグローバル戦略 予算計画と資金調達〜補助金・助成金の活用術
海外展開と聞くと「商品を売りに行くこと」と捉えがちですが、本質は「持続可能な市場拠点を構築すること」です。特に中小企業にとっては、ただ“売る”のではなく、“残す・根付かせる”視点が極めて重要です。本記事では、初年度のコストから補助金活用、そして公的支援の使い方まで、実践に即した情報をまとめました。
【STEP1】予算計画:海外展開にかかる初年度コスト一覧
海外ビジネス初年度には、以下のような費用が想定されます。
費用項目 | 概要 | 目安金額(参考) |
現地市場調査費 | 顧客ニーズ、競合、価格帯など | 30〜100万円 |
翻訳・ローカライズ費 | 商品説明・パッケージ・ウェブ等 | 10〜50万円 |
見本市・展示会参加費 | 出展費・ブース設営・渡航費 | 50〜200万円 |
通関・輸出関連手続き | インコタームズ、輸出許可など | 10〜30万円 |
現地パートナー選定・契約 | 弁護士・代理店手数料など | 20〜100万円 |
法規制・認証対応費 | 食品、化粧品、医療機器などは要注意 | 10〜80万円 |
プロモーション費 | SNS広告、現地インフルエンサー等 | 20〜100万円 |
その他(翻訳通訳、渡航費など) | 必須経費 | 30万円〜 |
合計想定:250万〜700万円程度
【STEP2】資金調達の選択肢と現実的アプローチ
中小企業の海外展開には、外部資金との上手な付き合い方が鍵となります。
■ 自己資金・営業利益の再投資
長期的視点で最も健全。事業性評価を重視。
■ 金融機関からの融資(制度融資含む)
例:日本政策金融公庫「海外展開支援融資」
無担保・無保証枠あり
成長戦略としての事業性を問われる
■ 出資・共同事業(アライアンス)
現地法人・パートナーとの共同展開モデル。リスクも分散。
【STEP3】補助金・助成金の活用術
中小企業が使える代表的支援制度一覧(2025年度版)
支援名 | 実施主体 | 内容 | 補助額・上限 |
JETRO 「新輸出大国コンソーシアム」 | JETRO | 海外展開の専門家派遣、販路開拓支援 | 無償支援あり |
中小企業庁「JAPANブランド育成支援等事業」 | 中小企業庁 | 海外展示会、ローカライズ、商談支援 | 上限500万円 |
ものづくり補助金(グローバル展開型) | 中小企業庁 | 海外向け製品開発・設備投資 | 最大3000万円 |
小規模事業者持続化補助金(海外展開型) | 商工会・商工会議所 | 翻訳・海外EC出店・広告等 | 上限200万円 |
都道府県・市区町村の独自助成 | 地方自治体 | 翻訳・渡航費・調査費など | 地域ごとに異なる |
【STEP4】補助金申請時のポイントと落とし穴
成功のカギ
「事業計画書」の完成度が9割を決める
→ 収益モデル、現地ニーズとの整合性、実現可能性が明確に書かれているか?
タイムラインと実施体制を明記
→ 誰が・いつ・どのように推進するかが重要
過去の実績や国内での成功事例を示す
→ 海外展開=“次のステージ”である説得力を持たせる
よくある落とし穴
事業内容が「輸出したい」だけになっており、現地市場分析が不十分
補助金ありきで進めてしまい、自社負担分の資金繰りが崩れる
スケジュール遅延 → 補助対象期間を逸脱し不採択・返還対象に
【まとめ】海外展開は“販路開拓”ではなく“市場創出”
海外展開は“売り込み”ではなく、“育てる”視点が必要です。中小企業だからこそ、小さく始めて、深く根を張る。JETROや中小企業庁の支援をうまく活用しつつ、自社らしいグローバル戦略を描きましょう。
海の向こうにチャンスはある。でも、その準備は「今ここ」から始まる。
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