中小企業のための海外展開実践ガイド売るだけじゃない、残すためのグローバル戦略社内体制づくりと外部連携のリアル
- rmatsumoto9214
- 6月20日
- 読了時間: 3分

中小企業のための海外展開実践ガイド売るだけじゃない、残すためのグローバル戦略社内体制づくりと外部連携のリアル
海外展開に挑む中小企業が増える一方、「売ること」はできても「継続する」「残す」ことに苦労するケースが後を絶ちません。なぜでしょうか?
理由の多くは、体制と戦略の不整備にあります。本記事では、海外展開を“単発の輸出”で終わらせないために必要な、社内体制の構築、担当人材の育成、そして外部連携の実践的な方法を、経営コンサルタントの視点で解説します。
1. 海外展開は「人」と「体制」から始まる
多くの中小企業は「海外はまず営業力が勝負」と考えますが、それは半分正解、半分誤解です。
◆ 海外展開に必要な3つの体制
戦略設計層(経営者または事業責任者)中長期的な市場選定、収支モデル、リスク管理を担います。
実務実行層(海外担当)輸出入・販路開拓・顧客対応・言語調整など、フロント実務を担当。
支援連携層(社外連携担当)専門家・行政支援機関・パートナー企業との橋渡し役です。
2. 海外担当は「営業力」だけで選んではいけない
よくある失敗は、営業担当に海外も兼任させること。たしかにコスト面では理にかなっているように見えますが、実はこの「兼任体制」が展開の限界を早める原因になることが多いのです。
◆ 兼任体制の限界
言語だけでなく“文脈理解”が必要 通訳がいても文化的背景・商習慣・ローカルマーケティングには別スキルが必要。
スピードが落ちる 国内業務と海外対応の両立で、反応が遅れ信頼を失うリスク。
結果として属人化 特定の人だけに頼った体制では持続可能性に乏しい。
◆ 海外展開にはこのような人材が必要
多言語対応力+調整力:通訳と営業は全くの別スキル。通訳は言葉を訳す、営業は価値を伝える。
資料・交渉の両立能力:現地資料を読み解き、ローカルニーズに沿った提案ができる人材。
海外支援ネットワークとの連携スキル:JETRO、商工会議所、現地販社などとの円滑な連携。
3. 外部連携を活かす企業は「残る」企業
海外展開は、全部社内で完結しようとしないことが成功の鍵です。
◆ 実例:ある中小製造業の外部連携パターン
経営者+若手社員1名が海外担当
JETROの専門家による月1回の戦略レビュー
現地市場調査は民間の専門調査会社に委託
輸出書類と規制対応は行政書士+貿易アドバイザーと連携
現地代理店の選定は、現地在住コンサルとのオンライン面談で絞り込み
◆ 支援機関・専門家との役割分担のコツ
担当業務 | 社内担当 | 外部支援機関・専門家 |
戦略設計 | ◯(経営層) | △(壁打ち・助言) |
見込先調査 | △ | ◯(JETRO/民間調査会社) |
通訳・交渉 | △ | ◯(専門通訳・海外営業経験者) |
書類・規制対応 | △ | ◯(行政書士・税理士) |
代理店契約 | ◯(主導) | △(契約内容の確認など) |
4. まとめ:売るのはスタート、「残す」がゴール
海外展開は「商機」だけでなく「体力勝負」でもあります。属人的で場当たり的な対応ではなく、再現性と継続性を備えた戦略と体制づくりこそが、売上だけでなく事業そのものを海外に“残す”ための鍵となります。
▼ おすすめアクション
社内で「海外担当育成ロードマップ」を作る
支援機関との面談を定期化(月1回の壁打ち会など)
通訳ではなく「営業ができる多言語人材」を探す
外部パートナーと役割を明文化して文書化する
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