営業担当者によって新規開拓の成果が違いすぎる営業あるある

営業担当者によって新規開拓の成果が違いすぎる営業あるある
個人の能力に頼る営業から、再現性のある営業組織へ
「同じ会社の商品を扱っているのに、営業担当者によって新規開拓の成果が大きく違う」「トップ営業は次々と新規顧客を獲得しているのに、他の営業担当者はなかなか成果が出ない」「できる営業担当者のやり方を真似させても、なぜか同じような結果にならない」。
営業組織を持つ企業であれば、一度は感じたことのある悩みではないでしょうか。
営業には、経験やコミュニケーション力、人柄など、個人の能力が影響する部分があります。
そのため、すべての営業担当者がまったく同じ成果を出すことは現実的ではありません。しかし、成果の差が極端に大きく、一部の営業担当者だけに新規開拓を頼っている状態には注意が必要です。
トップ営業担当者がいること自体は、企業にとって大きな強みです。しかし、その人が異動した、退職した、あるいは営業活動に十分な時間を使えなくなった途端に新規顧客の獲得が止まってしまうのであれば、それは「強い営業組織」とは言えません。
また、成果を出している営業担当者本人も、「なぜうまくいっているのか」を言葉で説明できないことがあります。長年の経験や感覚の中で身につけた営業スタイルは、本人にとっては当たり前すぎて、他の人に教えることが難しいからです。
これから企業が安定して新規顧客を増やしていくためには、「優秀な営業担当者を一人育てる」だけでは不十分です。必要なのは、誰が担当しても一定の成果を出せる営業の仕組みをつくり、個人の能力を組織の力に変えていくことです。
今回は、「営業担当者によって新規開拓の成果が違いすぎる」という営業あるあるをテーマに、個人の能力に頼る営業から脱却し、再現性のある営業組織をつくるために必要な考え方について解説します。
成果の差は「営業力の差」だけで生まれているとは限らない
新規開拓の成果が出ない営業担当者を見ると、「営業力が足りない」「もっと積極的に動いてほしい」と考えてしまうことがあります。
もちろん、営業経験やスキルによる差はあります。しかし、成果の違いをすべて個人の能力の問題として片づけてしまうと、本当の課題を見逃してしまう可能性があります。
例えば、成果を出している営業担当者には、もともと多くの人脈があるかもしれません。担当している地域や業界に需要が集中している可能性もあります。過去からの紹介や問い合わせを多く引き継いでいる場合もあります。
反対に、新人営業担当者には、どの企業にアプローチすればよいのか、どのような方法で商談をつくればよいのか、具体的な営業の進め方が共有されていないこともあります。
この状態で結果だけを比較しても、営業担当者本人の努力や能力だけでは解決できない問題があります。
まず必要なのは、「誰が成果を出しているか」だけを見るのではなく、なぜその人は成果を出せているのか、その成果が他の営業担当者にも再現できるものなのかを分析することです。
トップ営業の成功を「才能」で終わらせるのではなく、その行動や考え方の中に、組織として活用できる要素がないかを探すことが重要です。
「できる営業担当者の背中を見て学ぶ」だけでは組織は育たない
営業の世界では、これまで「先輩の営業に同行して学ぶ」「経験を積みながら自分なりのやり方を身につける」という育成方法が多く採用されてきました。
もちろん、実際の商談を経験することは重要です。しかし、それだけに頼った営業教育では、成長スピードが個人によって大きく異なります。
営業経験が豊富な人の話し方を見ても、「なぜその質問をしたのか」「なぜこのタイミングで提案したのか」が理解できなければ、表面的な真似で終わってしまいます。
また、先輩営業担当者によって教える内容が違えば、新人は誰から学ぶかによって営業スタイルが変わってしまいます。
再現性のある営業組織をつくるためには、「できる人を見て覚える」だけではなく、営業活動を言語化し、共有できる形にする必要があります。
例えば、新規開拓では、どのような企業をターゲットにするのか。最初のアプローチでは何を伝えるのか。初回商談では何を確認するのか。商談後にはどのようなフォローをするのか。
こうした営業活動の基本的な流れを整理することで、経験の浅い営業担当者でも「次に何をすればよいのか」がわかるようになります。
営業の型をつくることは、営業担当者をロボットのように同じ行動をさせることではありません。成果を出すための基本を共有した上で、それぞれの強みを活かせるようにすることです。
新規開拓のプロセスを「見える化」する
営業担当者によって成果に差が出る企業では、新規開拓のプロセスが曖昧になっていることが多くあります。
「新規開拓を頑張る」という方針はあるものの、具体的にどのような手順で進めればよいのかが決まっていない。
そのため、営業担当者ごとに、ターゲットの選び方も、アプローチ方法も、商談の進め方も異なります。
経験豊富な営業担当者は自分で考えて動けますが、経験の浅い営業担当者は何から始めればよいのかわからず、活動量そのものが増えないこともあります。
そこで必要になるのが、新規開拓の営業プロセスを見える化することです。
例えば、「ターゲット企業の選定」「アプローチ」「アポイント獲得」「初回商談」「課題の確認」「提案」「見積」「フォロー」「受注」といったように、自社の営業活動を段階ごとに整理します。
そして、それぞれの段階で「何を目的とするのか」「どのような行動をするのか」「次のステップへ進むためには何が必要なのか」を明確にします。
このプロセスが整理されると、営業担当者の成果が出ない原因も見えやすくなります。
アポイントが取れないのか。初回商談から次につながらないのか。提案はできているのに受注率が低いのか。
「営業ができない」という曖昧な評価ではなく、どのプロセスに課題があるのかを把握できるようになるため、具体的な改善につなげることができます。
成果ではなく「行動」と「プロセス」も管理する
営業組織では、売上や受注件数だけで営業担当者を評価することがあります。
しかし、新規開拓は、今日活動したことが明日すぐに売上になるとは限りません。
特に製造業やBtoB営業では、初回接点から受注まで数か月、場合によっては一年以上かかることもあります。
そのため、売上だけを見ていると、成果が出るまでの間に営業担当者が何をしているのかがわかりません。
再現性のある営業組織をつくるためには、結果だけでなく、その前段階となる行動やプロセスも確認することが必要です。
新規企業へのアプローチ数、アポイント獲得数、初回商談数、継続商談数、提案件数など、自社の営業プロセスに合わせた指標を設定します。
ただし、数字を管理すること自体が目的になってはいけません。
「今月100件電話をした」という活動量だけを追っても、ターゲットが適切でなければ成果にはつながりません。重要なのは、数字を通じて営業活動のどこに課題があるのかを確認し、次の改善につなげることです。
営業会議でも、「今月はいくら売れたか」だけではなく、「今、どの段階の案件がどれくらいあるのか」「次にどのような行動をするのか」を確認することで、営業活動が前向きに進むようになります。
トップ営業の「成功パターン」を組織の資産にする
営業組織に成果を出している人がいるのであれば、その営業担当者のやり方には多くのヒントがあります。
しかし、「あの人は話が上手いから」「人柄がいいから」と考えて終わらせてしまえば、組織全体の成長にはつながりません。
例えば、その営業担当者はどのような業界や企業を選んでいるのか。最初の接点をどのようにつくっているのか。初回訪問では何を聞いているのか。お客様から「検討します」と言われた後、どのようにフォローしているのか。
具体的な行動を分解していくことで、個人の才能に見えていたものの中から、他の営業担当者にも活用できる方法が見えてきます。
例えば、トップ営業担当者が商談で自然に行っている質問をヒアリングシートにする。受注につながった提案の流れを事例として共有する。効果の高いアプローチ方法を営業チームで標準化する。
こうした取り組みによって、トップ営業担当者の経験が「その人だけのノウハウ」ではなく、組織全体の営業資産になります。
優秀な営業担当者の存在に依存するのではなく、その人の成功を組織全体で再現できるようにすることが、営業責任者の重要な役割です。
営業担当者ごとに「得意な役割」が違っていてもいい
再現性のある営業組織というと、全員が同じように新規開拓できる状態を目指すべきだと考えるかもしれません。しかし、すべての営業担当者を同じタイプの営業に育てる必要はありません。
新規開拓が得意な人もいれば、既存顧客との関係を深めることが得意な人もいます。アポイントを獲得することが得意な人、商談で課題を聞き出すことが得意な人、技術的な提案に強い人など、それぞれに強みがあります。
重要なのは、個人の強みを活かしながらも、営業活動の最低限の基準やプロセスを組織として共有することです。例えば、すべての営業担当者が新規開拓の基本的な活動は行う。
その上で、大型案件の提案には技術に強い担当者が同行する、新規アポイントの獲得が得意な担当者が初期アプローチを支援するといった役割分担をすることもできます。
営業を「一人で最初から最後まで完結させる仕事」と考える必要はありません。
組織としてお客様を獲得し、育てる仕組みをつくることで、個人の苦手な部分を補いながら、チーム全体の成果を高めることができます。
営業会議を「報告の場」から「改善の場」に変える
再現性のある営業組織をつくるためには、営業会議のあり方も重要です。
営業会議が「売上の報告をするだけ」「数字が悪い人が注意されるだけ」の場になっていると、営業担当者は成功や失敗の理由を共有しなくなります。
一方で、「なぜこの商談がうまく進んだのか」「なぜアポイントにつながらなかったのか」「次はどのようにアプローチするのか」といった営業プロセスを話し合う場になれば、個人の経験をチーム全体で学ぶことができます。営業活動には、必ず成功と失敗があります。
大切なのは、失敗を個人の能力不足として終わらせるのではなく、「次に同じ状況が起きたとき、組織としてどう対応するか」という学びに変えることです。
一人の営業担当者が経験したことを、その人だけの経験で終わらせない。営業会議を通じて組織の知識に変えていく。この積み重ねが、営業組織の再現性を高めていきます。
「人を変える」前に「仕組み」を見直す
営業成果が出ないとき、「営業担当者を変えたほうがいいのではないか」と考える経営者もいるかもしれません。もちろん、営業職として求められる適性や本人の意欲も重要です。
しかし、担当者を変えるたびに同じ問題が起きているのであれば、個人だけではなく営業の仕組みに課題がある可能性があります。
ターゲットが明確ではない。営業の進め方が共有されていない。案件管理ができていない。営業担当者への支援や教育がない。成果が出ない原因を分析する場がない。
このような状態であれば、どれだけ優秀な営業担当者を採用しても、組織全体の成果を安定させることは難しくなります。
営業担当者の能力を高めることと同時に、営業担当者が成果を出しやすい仕組みをつくることが必要です。
営業力は個人の才能だけで決まるものではありません。
適切なターゲットがあり、行動の方向性が明確で、相談できる環境があり、成功事例が共有されていれば、営業担当者はより成長しやすくなります。
まとめ|「できる営業マン」への依存から、組織で成果を出す営業へ
「営業担当者によって新規開拓の成果が違いすぎる」という問題は、単純に営業担当者の能力差だけが原因ではありません。成果を出している人のやり方が共有されていない。
新規開拓のプロセスが明確になっていない。結果だけを管理し、途中の課題を改善できていない。このような組織の仕組みが、成果の差をさらに大きくしていることがあります。
再現性のある営業組織をつくるためには、トップ営業担当者の成功を分析し、営業プロセスを見える化し、基本となる営業の型を共有することが必要です。
そして、売上だけではなく、営業活動のプロセスを確認しながら、一人ひとりの課題に合わせて改善を続けていきます。
ただし、営業担当者を全員同じタイプにする必要はありません。
一人ひとりの強みを活かしながら、組織として成果を出せる仕組みをつくることが重要です。
強い営業組織とは、一人のスター営業マンが売上をつくる組織ではありません。誰か一人がいなくなっても営業活動が止まらず、経験の浅い営業担当者でも成長でき、成功した営業方法が組織の中に積み重なっていく組織です。
もし、「あの営業担当者しか新規開拓ができない」「営業担当者によって成果が違いすぎる」と感じているのであれば、一度、営業担当者個人を評価する前に、営業活動の仕組みを見直してみてください。
「誰が売れるか」から「どうすれば組織として売れるか」へ。その視点に変えることが、個人の能力に依存しない、継続的に新規顧客を獲得できる営業組織をつくるための第一歩になるはずです。





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